『ロングレッグス』を観た!【こだわり溢れるホラー】

映画『ロングレッグス LONGLEGS』のあらすじと感想

上映に先駆けて、早い段階からなにやら恐いらしいという話がちらほらと聞こえており、敬愛する平山夢明先生もまた期待している映画として挙げていたそんなわけでこれは観ておくしかないと、公開日(2025年3月7日)のレイトショーへと駆け込んで観てきた。

個人的にはかなり好きだったので、感想なんかを書き記しておきたい。

筆者
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映像表現に引き込まれまくる作品!

『ロングレッグス』だいたいこんな話

1990年代半ば、駆け出しのFBI捜査官リー・ハーカーは並外れた直感を買われ、長年の未解決事件の担当に抜擢される。その事件は、平凡な家族の父親が妻子を手に掛け自らも命を断つというものが30年の間に10回も発生している、という不可解な事件であった。残された「ロングレッグス」という署名の謎の暗号が残されている、ということとどの家にも誕生日が14日の幼い娘がいた、ということが共通していた。

リーは暗号の解読に没入し、これまで何も手がかりがなかったその事件についに手がかりの可能性を見出す。そして過去の事件の唯一の生き残りの少女との邂逅、精巧すぎる不気味な人形の発見と僅かな手がかりを手繰り寄せつつ、リーとロングレッグスの何らかのつながりの疑いも浮上し、いよいよ捜査は混迷を窮め…、といった話。

筆者
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リーは生き残れるのか!?

サイコホラーな代表作「羊たちの沈黙」的な建付けに見えるつくりなのだが、純然たるホラー映画となっている。ちなみに監督オズグッド・パーキンスは『サイコ』のノーマン・ベイツ役のアンソニー・パーキンスの息子である。宣伝にもほとんど顔が出ていないニコラス・ケイジだが、プロデュースにも名を連ねている。米配給はNEON。

『ロングレッグス』感想とか

視覚的創造に富んだ映像表現とそれによってもたらされる緊張感に冒頭から引き込まれた。スライドのようにクロップされた過去と思しきシーンに始まり、レトロなステーションワゴンやもろもろのアイテム、ホラー然としたいたずらに寂しげな風景、不穏な暗号文、そしてなかなか顔が見えないロングレッグス、などなど細部まで行き届いた表現によって確固たる世界観を確立している。またFBIとサイコキラーという並びが『羊たちの沈黙』風なのだが、『ゾディアック』めいた暗号や『サイコ』っぽい演出、『セブン』的なエンドロールといった形で過去のサイコホラー、スリラー作品をオマージュしたような見せ方も散りばめられている。そんなわけで、これらの映像的なフックに終始引きずり倒された次第である。

筆者
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監督の言葉で言えば「ホラー映画のミックステープ」のような映画!

また音響にもこだわりが感じられ、全体を通してサブリミナルな音使いがされているという。またバイノーラルマイクを用いて録音した包み込むような音は鮮烈な気持ち悪さがあった。そんな形で音によっても映画を通して異様な緊張感を高めていてかなりぐっと来るポイントである。

そんな土台の下に「ホラー映画のミックステープ」的な要素が散りばめられているので、鑑賞と併せてパンフレットや公式サイトの徹底解析ページを読むと理解の助けになる部分もあると思われる。

ちなみにパンフレットには平山夢明先生のインタビュー記事(取材:ギンティ小林氏)も掲載されておりますます必見である。

パンフレットは現場証拠風のジップロックっぽい袋にポラロイド写真風の写真も同梱。とても凝っていて良い。

「平山夢明のシネマdeシネマ」の動画もパンフ内のインタビューと近しい内容の説明があるので大変おすすめ。この映画を観てモヤモヤした人には特に観てみていただきたいところ。

そんなわけで、恐いかどうかで言えば個人的にはそこまで恐くはない(ただし緊張感はものすごい)のだが、とてもおもしろい映画なのであった。

筆者
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