2025年8月に観た映画

新作映画を観た感想を書き始めたきっかけとか

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映画館で観たものに加え、配信やソフトでの鑑賞も含めて今月鑑賞したものを書き残すゾ

入国審査【近所のシネコン】

スペインからアメリカへ入国しようとするカップルが入国時に思わぬ入国審査に見舞われる話。

77分のコンパクトさでありながら色んな方向へ触れる緊張感がおおいに味わえる。

なかなか見応えがあった。

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おすすめ!

黒川の女たち【キネマ旬報シアター】

1945年の関東軍敗走の満州にて起きた、かき消されようとしていた多層な加害の事実と、いたましい犠牲の史実を残すべく闘った当事者女性たちの記録。闘いのさきの尊厳の回復を目の当たりにし、繋がったいのちにとてつもない希望を感じた。

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ぜひ多くの人に観てほしいドキュメンタリー!

◯◯式【キネマ旬報シアター】

近藤亮太監督による40分ほどのホラー映画。短くともしっかり不気味さを味わえる謎の「式」を体感すべし…!

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この怖さはなかなかにたまらん!

籠の中の乙女【Blu-ray】

ヨルゴス・ランティモス監督の初期作品の4Kリマスター。

常識を軽々と飛び越えた地平にて観る人を翻弄する怪作。劇場で見て面白く、思わずソフトも購入。良い。

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クセになるヘンな作品を作り続ける監督…!

ドッグ・レディ【目黒シネマ】

念願のラウラ・シタレラ特集その1。

平原の片隅の自作掘っ立て小屋で多数の犬とともに暮らす謎の女性の四季をドキュメンタリックに追う怪作。

字幕のつくレベルのセリフのない彼女が狩猟・採取・ごみ収集に大胆な窃盗や寄付を交え着の身着のままに暮らす様子は原初的な「生きる」というものの解放に満ちているのであった。犬たちとただ眠る様の幸福感といったらない。

観てよかった一本。

詩人たちはフアナ・ビニョッシに会いに行く【目黒シネマ】

念願のラウラ・シタレラ特集その2。

フアナ・ビニョッシというアルゼンチンの詩人が死に、彼女の詩を世に残したいと願う若い詩人のメルセデス・ハルフォンは、映画監督ラウラ・シタレラ(本人が演じているわけではない)たちとビニョッシについての映画を作ってゆく。遺品を整理しながらビニョッシの詩に向き合う女性たちだったが、やがて彼女たちが予想だにしなかった複雑で繊細なものへと転じていく不思議な作品。

もう一本『オステンデ』も観たかったのだが、スケジュールが合わず断念…いつの日か観たいところ。

KNEECAP ニーキャップ【ヒューマントラストシネマ渋谷】

母国語復権のためアイルランド語で活動するラップグループ・ニーキャップの結成から躍進までを描く自伝的(?)映画。なんと本人たちが演技指導を受け演技している(とてもうまい)。とんでもなく痛快な展開と音楽に満ちており大満足な音楽映画であった。

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音楽もものすごくイイぞ!

はじまりのうた【キネマ旬報シアター】

2013年の音楽映画。才能ある恋人とともに音楽活動をしていたシンガーソングライター・グレタはその恋人に裏切られ失意の中旧友に無理やり出されたステージで歌っていたところ、落ち目のプロデューサー・ダンの目に留まって二人でアルバムを作ることに。バンドメンバーを集めニューヨークのまちなかでのゲリラ的録音をつぎつぎに慣行していくという物語。

ダンの家族問題などもありつつも、仲間の協力とともに軽やかに前に進む二人の姿がなんとも爽快。

V.MARIA【キネマ旬報シアター】

遺品整理のなか亡き母が実はビジュアル系のバンギャだったことを知ったマリアは自分の名前の歌の存在を知り、その歌を聴くためにバンギャ同級生ハナに頼み込んで初めてのライブへと足を運び、未知の世界へと飛び込んでいく話。

曲はかのSUGIZOが担当しており、その世界の一端にふれることができる。

併映される目黒鹿鳴館のドキュメンタリーもあり。

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曲イイぞ!

近畿地方のある場所について【近所のシネコン】

背筋氏による大ベストセラーホラー小説の映画化。監督は白石晃士氏である。

断片的な怪現象に関する「資料」が往年のVHSやネット動画のムードの映像で積み重ねられていくさまはなかなか怖かった。

映画として提示する必要に迫られたのか、ラストのオチのようなものは個人的にはもっとぼかされても良かったのかなと思わなくもないが、そこにいたる道のりがなかなかの見応えだったので総合的にだいぶ満足した次第である。

菅野美穂氏の演技も徐々にあったまっていくのだが、そこも含めとても良い。

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二度目観るとしたら、また違った視点で観られるだろうから面白そうだな〜

以下の解説動画も大変おすすめ。

観終わった直後に原作(文庫版)を購入してその日に読み切ってしまうほど面白かった。映画とは共通てもありつつもわりと異なる形で、こちらも大変おすすめ。

サタンがおまえを待っている【ヒューマントラストシネマ渋谷】

ある女性と精神科医が出した本によって巻き起こされた衝撃的なサタニック・パニックの真相に迫るドキュメンタリー映画。

今観ることに大いに意味がある感じがするのでおすすめ。

亀は意外と速く泳ぐ【テアトル新宿】

個人的にものすごく思い入れのある三木聡監督作品。映画館の音響で聴くと音楽が思いのほか新鮮に響いたり。一番好きな加東センパイとのシーンで笑い声がいちばんあがっててなんか嬉しかったり。初期作品大好き勢としては感無量。映画館に足を運んで良かったと思えたのであった。

キムズビデオ【ヒューマントラストシネマ有楽町】

ニューヨークの伝説的なレンタルビデオショップの膨大なコレクションの行方にまつわるとんでもないドキュメンタリー映画。後半の展開にはひたすら度肝を抜かれた。公開と同時にVHSも発売されたりして展開の仕方も愉快。往年のインターネット感満載なオフィシャルサイトもこれまたおもしろい。

アイム・スティル・ヒア【フォーラム仙台】

ブラジルの軍事独裁政権下にある家族を襲ったあまりに理不尽な事件と、事件の真相を求め声を上げ続け闘った妻であり母である女性エウニセの、忘れがたい記憶の物語。監督はこの映画の家族と旧知だそうな。原作者はエウニセの息子マルセロ。

エウニセの視点を主軸に描かれる軍事政権の実際にあった蛮行によって、何が起きているのかわからないという恐怖が凄まじくもたらされ、その中で子どもたちのために気丈に振る舞い、個人として国家に対峙すべく動く彼女の意志には震えるものがある。その理知的・文明的に分断と対峙する姿勢は今の時代でもなお指針になりうる強さを感じた。演技も白眉。

8ミリフィルムの「記憶」としての映像の美しさや、抑圧の時代における音楽のありかた、映画のタイトルの来歴、ポスターの写真まで、重層的に映画を形作っていることがありありと伝わり、簡単には咀嚼しきれない厚みを感じる作品でもあった。

アカデミー賞国際長編映画賞受賞作。

赤い糸 輪廻のひみつ【あまや座】

なにやら気になっていた台湾映画をようやく見ることができた。

死者が冥界にて転生するために縁結びの神職「月老(ユエラオ)」に従事し善行を積む、という設定の中で強烈にキャラがたった登場人物たちがあれこれ頑張るファンタジックな恋愛(を主軸としたてんこ盛り)映画である。監督が日本のサブカルチャー好きらしく、ちょいちょいと日本要素が垣間見えるポップな世界観がとても楽しい。かと思えば思いのほかドイヒーな下ネタがとびだすギャップもあったり。また観たいなと思える映画であった(ソフト化・配信の予定もなく、11月で上映できなくなるそうな…)。

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ピンキー好きすぎる…!

富江【U-NEXT】

『近畿地方〜』を観て以来菅野美穂氏観たいコンディションになっていたところに、伊藤潤二先生の『富江』の映画にてなんと富江を演じていたと知り鑑賞。

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これはイイ富江…!

大長編 タローマン 万博大爆発【近所のシネコン】

なんだこれは…!(まじで)

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でたらめな大感動が押し寄せる最強の珍映画!ホントおもしろかった…!

パルテノペ ナポリの宝石【近所のシネコン】

なにやらとてつもなく美人な女性の半生を綴った映画らしい、というふわっとした情報で観てきたら、なんとも不思議な見応え・観心地で印象に残る作品であった。パルテノペ、という人魚の名でありナポリの街を意味する名を付けられた女性が、誰もが目を奪われる美貌を持ちつつ、それを武器にすることを知りいろいろな世界を覗き見、そして最終的にそれを武器にせずに生きていく選択をする映画。映像がすばらしくきれいで、ナポリの海の景色もこれまたきれい、さらにパルテノペが圧巻の美しさでもって、逆にしばらく話に入り込めずにいたがしかし見入っている謎の状態になったりしたのであった。

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不思議な印象深さ…!

美しい夏【キネマ旬報シアター】

パルテノペにつづき連日イタリアの美女をガン見。かのモニカ・ベルッチの娘ディーヴァ・カッセルが映画初出演、という触れ込みで実際とても目を引く居住まいである。結構そこをプッシュして宣伝している気がしたが、観てみると主演イーレ・ヴィアネッロがとても良かった。

1938年、戦争が迫るイタリアにて、兄と暮らすジーニア(イーレ・ヴィアネッロ)は針子として真面目に働き才能も見せ始めていたのだが、ある日仲間内での川辺での集まりでアメーリア(ディーヴァ・カッセル)という年上の女性と知り合う。絵のモデルとして自由に暮らす彼女の生活に惹かれ、ジーニアは夜な夜な彼女と会い彼女の世界を覗くことに夢中になっていき…、といった話。

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よかったな〜

At the terrace テラスにて【U-NEXT】

『アジアのユニークな国』以来ハマっている山内ケンジ監督の長編。原作が山内監督の『トロワグロ』という戯曲の書籍であり先に読んでいたため、それが素晴らしい映像化と相成っていた。積み重ねたおかしな会話の果てに、せーので全員足くじく、みたいなラストがとてつもなくすばらしいのであった。

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山内監督の魅力とめどない…!

ランド・オブ・バッド【近所のシネコン】

戦場で孤立してしまった若手軍曹と、後方支援をする無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを描いたアクション映画。

東南アジアのスールー海という、各国が注視するエリアにて拉致されたエージェントを救出する極秘任務に、精鋭ぞろいの中なぜか経験の浅いJTAC(統合末端攻撃統制官)が参加することになり、目的地で反政府ゲリラに遭遇して激しい戦闘がはじまってしまい…という話。

実際のアメリカ海軍への入念な取材に基づいているそうで、今どきの軍事作戦は通信技術やら無人戦闘機やらの発達でこんな装備を担いでいくんだな、とかアメリカから現場を支援するんだな、といった感心をしつつ現地でのものすごい緊張感で作戦にはこれまたリアリティが感じられ見入ってしまった一本。

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わりと何気なく観てみたが面白かった!

ChaO【近所のシネコン】

上海を舞台にした、人魚姫の物語をベースにしたオリジナルアニメーション映画。STUDIO4℃作品らしくなかなか特異なキャラデザに好みが分かれそうだが個人的には結構好き。ちょいとSFな趣で、冒頭人魚と人が共存する街が描かれ、そのような世界になった経緯として人魚と人が交流していくきっかけの物語が語られる形になっている。

水の表現にこだわりを感じる作品であった。

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ダンスシーンがすごくイイぞ!

愛はステロイド【近所のシネコン】

1980年代のアメリカを舞台にした、筋肉と銃を巡る?クィアなスリラー。A24作品である。

ニューメキシコにて嫌悪している父親の経営するジムで働いているルーはある日会ったラスベガスでの大会を目指す女性ボディビルダージャッキーと恋に落ち、一緒にラスベガスへ行く約束をするが、DV夫に支配される姉を気遣うもある日姉が入院するほどの怪我を負わされたことで、二人はある一線を超えてしまい…といった話。

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なんとも刺激的で楽しい映画だった…!

この夏の星を見る【キネマ旬報シアター】

コロナ禍によって多くの活動を制限されていた高校生や中学生がオンラインでのスターキャッチコンテストという競技に励む物語である。

冒頭から立ち込める青春的なムードにあてられ、なにやらグッと来てしまった。そんな感じで結局劇中のなんでもない瞬間に妙に心揺さぶられっぱなしであった。

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なんか謎の涙が出まくってしまった…すごく良かった…!

六つの顔【キネマ旬報シアター】

人間国宝、狂言師・野村万作の90年の芸歴の過去と現在を浮かび上がらせるドキュメンタリー。「川上」という狂言がまるごと収録されておりその芸の凄みにふれることができる作品である。

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たち居住まいとか声に宿る凄みといったら…!生で狂言を観てみたくなる作品

8番出口【近所のシネコン】

人気ゲーム原作の映画。地下鉄の地下通路がなぜか無限ループする珍な状況に陥った男があれこれ頑張る話。ゲーム自体はプレイしていないが、プレイしている人を観るような感覚があってなかなか身につまされる疲労感を覚える作品であった。なんとなくスタイリッシュなムードもあったり。

ベスト・キッド レジェンズ【近所のシネコン】

兄を失いカンフーを封印していた高校生のリーは母の仕事で北京からニューヨークへと移り、あるきっかけで空手大会優勝を目指す話。1984年版のかつての少年ダニエル(ラルフ・マッチオ)とそのリメイクにあたる2010年版のハン(ジャッキー・チェン)が集結してよってたかってリーを鍛える熱い展開が繰り広げられる。

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めちゃくちゃテンポが良くて楽しく見ることができる作品!