
映画館で観たものに加え、配信やソフトでの鑑賞も含めて今月鑑賞したものを書き残すゾ
目次
- バレリーナ The World of John Wick【近所のシネコン】
- スイート・イースト 不思議の国のリリアン【Blu-ray】
- 九月と七月の姉妹【近所のシネコン】
- ノロイ【DVD】
- リモノフ【近所のシネコン】
- グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち【近所のシネコン】
- ヒックとドラゴン【近所のシネコン】
- ふつうの子ども【近所のシネコン】
- 私たちのオカルティックサマー【フォーラム仙台】
- 遠い山なみの光【近所のシネコン】
- ボーイ・キルズ・ワールド 爆拳壊界流転掌列伝【近所のシネコン】
- ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【近所のシネコン】
- 何も知らない夜【キネマ旬報シアター】
- Dear Stranger ディア・ストレンジャー【キネマ旬報シアター】
- THE MONKEY ザ・モンキー【近所のシネコン】
- ユマニテ【DVD】
- ランボー【U-NEXT】
- THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE【近所のシネコン】
- テレビの中に入りたい【ヒューマントラストシネマ有楽町】
- ランボー/怒りの脱出【新文芸坐】
- マルティネス【キネマ旬報シアター】
- 蟲【キネマ旬報シアター】
- 今月の好きになった映画【9月版】
バレリーナ The World of John Wick【近所のシネコン】
未鑑賞のジョン・ウィックシリーズの最新作をレイトショーで唐突に鑑賞。珍な世界観のなかで珍しいムードのアクションもあり、意外と楽しめた。
スイート・イースト 不思議の国のリリアン【Blu-ray】
春に映画館で観て好きになった作品のソフトが発売されたので購入。やはり映像がとても美しく、変な話で良い。

九月と七月の姉妹【近所のシネコン】
ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーであるアリアン・ラベド監督の初監督作品。なんとなくテーマ性が近く、10ヶ月違いの同い年の姉妹の関係から、支配と服従のひとつのかたちを描き出す。美しくも恐ろしい話。ラストカットが大好きな作品。

アリアン・ラベド監督は俳優として出演してる「ALPS」の最後の表情がたまらんよね
ノロイ【DVD】
白石晃士監督の2005年のホラー映画で、いわゆるフェイクドキュメンタリー的な作品となっている。とても怖くて良かった。白石監督の『近畿地方のある場所について』のフッテージパートが良くて、これも観てみたいと思っていたので入手できて良かった。
余談だがDVDが流通してなさそうな状態で、海外のBlu-rayなら入手できるらしいと知り、その前にダメ元で「メーカー取り寄せ」状態になっていた楽天ブックスで発注してみたところ、数週間で無事確保され発送されたのであった(映画に合わせて改めて製造されたのかな?と思ったがわからん)。
リモノフ【近所のシネコン】
詩人で執事で革命家で、といくつもの顔を持つ男エドワルド・リモノフの激動の人生を描いた作品。ソビエト連邦下のロシアに生まれ、反体制派の詩人たちの集いに入り浸りつつ出会った女性と恋に落ちてロシアから亡命し、ニューヨークで自由と名声を求め…とこれからかなりいろいろあるがそんな話である。よく知らずに観に行ってみたがなんとも破滅的で矛盾もはらむ妙に魅力的な人物の人生を、おもしろい映像表現とすばらしい音楽で描いた作品だった。
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち【近所のシネコン】
近所でやっていたのでふらっと観に行ったガス・バン・サント監督の名作のリバイバル。初めてみたがとても良かった。荒んだ生活を送る天才青年が、心に傷をおった心理学者との交流の中で成長する物語である。主演のマット・デイモンとその親友役のベン・アフレックが脚本を担当しているそうな。

名作だった
ヒックとドラゴン【近所のシネコン】
ドリームワークス・アニメーションの代表作を実写映画化した作品。元のアニメ作品は未鑑賞ながら観に行ってみたらこれまた良かった。
ふつうの子ども【近所のシネコン】
呉美保監督による子ども映画。かなり好きな一本になった。
小学4年生の唯士は作文発表のときに環境問題についてうったえていた心愛が気になっているのだが、心愛はクラスの問題児・陽斗に惹かれていた。唯士はなんとか心愛に近づこうと同じ本を読んだり図書館でたまたまを装い遭遇したりしているうちに、3人で一緒に環境活動をすることになる。3人の秘密の活動はだんだん地域で問題になり始め…という話。
3人が暗躍するさまは楽しくも危なっかしくて目が離せない魅力があり、そこからだんだんとただ事ではなっていくにつれて3人の考えがばらついていく様もなんともリアル。親たちとの関係もまた三者三様で、親たちも悩みながら不完全な部分が多くありながら子育てをしているのだということが伝わってくるのであった。メインとなる3人はもちろん、クラスメイトも含めて子役がものすごく良い。パンフレットにはメイン3人による鼎談やクラスメイト一人ひとりに対する監督の言葉があったり、脚本がすべて掲載されていてとてもお得。

個人的に大好きな一作!
私たちのオカルティックサマー【フォーラム仙台】
樋口翔一監督の卒業制作として作られた60分ほどの作品。疾走した姉の手がかりを求めオカルト研究会の門を叩いた夏希(橋口果林)が部長にして令和のオカルト伝承者と名乗る前田(木林優太)、ツインテールの現役巫女である花京院(吉岡杏莉)とともにプールに出る幽霊の噂の解明に乗り出す話。
キャラクター造形に漫画的な趣があり、オカルトが全面に出ていつつも高校生の部活モノでもあり、青春なムードもまた良かったりする。
ちょうど樋口監督と主演の橋口氏の舞台挨拶会を観ることができた。

遠い山なみの光【近所のシネコン】
カズオ・イシグロ原作のミステリー。1980年代のロンドンにて、日本人の母とイギリス人の父を持つニキは大学を中退して作家を目指し、異父姉が亡くなって以来疎遠となっていた母のいる実家を訪れる。執筆のために、長崎で原爆を経験後にイギリスへ渡ったという母の過去を知りたくなり話を聞く。その中で、長崎で暮らしていた際に出会ったある女性との思い出を語りだし…という話。
謎な部分が完全には明らかにならないのだが、そんな奥ゆかしい語り口もまた良い映画であった。
ボーイ・キルズ・ワールド 爆拳壊界流転掌列伝【近所のシネコン】
ハイカロリーなアクションにクレイジーなカメラワークがすごい世紀末な世界観のアクション映画。とても楽しく観れた。

映画館のアナウンスで副題まで読まれるのか楽しみにしてたのだが、チェーンソーマンと時間被って賑わいすぎて聞こえなかった…
ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【近所のシネコン】
ウェス・アンダーソン監督の新作。独立した複数の都市国家からなる架空の大独立国フェニキアにて、暗殺未遂受けまくりな大富豪がフェニキア全域のインフラ整備計画「フェニキア計画」を進めていたところ妨害工作によって赤字が拡大、疎遠になっていた娘を修道院から呼び寄せ、資金調達の旅へと向かうのであった。
監督作品は初めて観たのだが、コントロールされた整然とした画面におもしろみがあって良かった。エンドクレジットに絵画が出てきてなんのことかと思っていたら、ルノワールやマグリットの本物の絵画を借りて設置して撮影されていたとのことでそのこだわりにビビる。
何も知らない夜【キネマ旬報シアター】
『私たちが光と想うすべて』のパヤル・カパーリヤー監督による初長編のドキュメンタリー。ナレーションによる「映画学校の寮からみつかった恋文」という体裁のカースト制度に阻まれた恋人たちの苦難の架空のストーリーとともに、実際に起きた政府への抗議運動、学生運動の弾圧事件にまつわる映像で構成された作品である。
ときおりカラーになるが、モノクロがメインとなる。
香港の民主化デモを扱った『灰となるまで』でも感じた、自由を渇望する熱量と残酷な体制という構図にまたもややるせなさが去来した。
また『私たちが光と想うすべて』はドキュメンタリー的に始まる(冒頭実際の該当インタビュー音声が使われている)が、フィクションとドキュメンタリーの溶け合うような趣のある構成もさることながら作品で扱うテーマにも通底する想いが感じられる。どちらもおすすめである。

これ以上なく余談だが、インドのデモはかなりリズミカルだった
Dear Stranger ディア・ストレンジャー【キネマ旬報シアター】
真利子哲也監督による全編ニューヨークで撮影された作品。
息子の誘拐事件をきっかけとして移住した日本人夫と台湾ルーツをもつ妻のアジア系夫婦間の秘密が浮き彫りになっていくサスペンス。
なんとも無国籍なルックに感じられる作りで、さらには描き出される移民ゆえの緊張感や孤独に没入してしまう恐ろしさも感じた。

今のアメリカのことを考えると余計にヒリヒリするぞ…!

THE MONKEY ザ・モンキー【近所のシネコン】
ロングレックスのオズグッド・パーキンス監督による、スティーブン・キング原作のホラー映画。かなりコメディ要素が強く楽しく観ることができた。
今作も視覚的なフックが多くて引き込まれ、立ち込める緊張感からのクレイジーな惨事、そしてぽてちんと訪れる死というシュールな不条理劇に思わず笑い、最後は清々しい気持ちで観終えることができるのであった。誰しも死ぬしな〜、ということでお母さんの教えすばらしかったり。

オズグッド・パーキンス監督いいな〜
ユマニテ【DVD】
ランティモスの相方的脚本家のエフティミス・フィリップがインタビューにて好きな映画の一つとして挙げていたため鑑賞してみた。で、なんとなく納得。語り口であったり音楽の使い方などにどことなくランティモス作品に影響を与えていそうなものを感じた。
少女殺人事件を捜査するナイーブな刑事と、彼が想いを寄せる隣人女性、そしてその彼女の恋人の3人のちょっとおかしな関係を軸に、フランスの田舎の風景での日常と進まない捜査が展開していく。
ランボー【U-NEXT】
後日控えるランボー/怒りの脱出の新文芸坐でのトークショーのために鑑賞。スケールでかくてビビる。
ベトナム帰還兵でゲリラ戦のエキスパートであるランボーがある街で保安官にいびられ、反抗したところ逮捕され、拷問をうけそうになり力付くで脱走、山に逃げ込み、山狩にあったところを全力で迎え撃つ、というはなし。痛快だし、スタローンの肉体がすごい。
THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE【近所のシネコン】
TVシリーズを知らずに観に行ってみた。帰ってきた時効警察の8話目みたいな映画だった気がする。
余談だが久しぶりにレイトショーでスクリーンに客一人状態で微妙にテンションが上った。
テレビの中に入りたい【ヒューマントラストシネマ有楽町】
A24の新作。素晴らしかった。居場所とか本当の自分にまつわるあまりに痛切で残酷な物語である。
1990年代のアメリカ郊外にて、13歳のオーウェンは投票所になった学校の中で2つ上の女子生徒マディと出会う。彼女は「ピンク・オペーク」という深夜番組の公式本を熟読しており、オーウェンはその番組の宣伝しか観たことがなく気になっていた。厳格な父の影響で夜はテレビが観られず、友達の家に泊まることにしてマディの家で観せてもらい、2人は謎めいた夜の番組に生きづらい現実から逃れられる唯一の居場所としてのめり込んでいくのだが…という30年ほどのスパンを描いた話。

筆者としては、時間が経ってからものすごく良くなってくる感じがあった
ランボー/怒りの脱出【新文芸坐】
ランボーシリーズの2作目。この日は池袋新文芸坐にてシネマdeシネマ出張編のトーク付きということで観に行ったのである。
スケールをました続編も見応えありまくりなのに加え、平山夢明先生とギンティ小林氏によるトークも大変おもしろかった。いつもは平山先生メインの映画だが今回はギンティ氏の領分で脚本のなりたちからキャスティング、原作の話などが詳しく語られた。

新文芸坐のスクリーンで映画観てからのおもしろトーク、出張編まじで素晴らしい企画…!

マルティネス【キネマ旬報シアター】
頭の固い壮年、マルティネスはメキシコの会計事務所ではたらくチリ人である。最近退職を勧告されてしまった。階下の住人の騒音(テレビの音)に悩まされる日々が続いていたが、実は住人は半年前に孤独死しており、なぜか遺品の中にマルティネスへのプレゼントが見つかる。大家が処分した彼女の遺品を部屋に持ち帰ったマルティネスは、彼女の行動予定をたどるうちに次第に彼女に惹かれ始め…という破格の超遠距離恋愛映画。
これがまた良かった。職場でも厄介者気味に扱われていたマルティネスが、恋を原動力として人生そのものを新たに見出すような彼の変化は人々との関係性を徐々に変えていくのであった。老いとかその先の死を扱う映画になぜかひかれる今日このごろである。

マルティネス、なんとも愛おしい…!

蟲【キネマ旬報シアター】
ヤン・シュヴァンクマイエル監督による最後の長編と銘打たれた作品。ストップモーションと実写が入り混じる奇怪な映画であった。
変な人ばかりの社会人劇団が、チャペック兄弟の有名な戯曲『虫の生活』の第二幕「捕食生物たち」に取り組むのだが、遅刻に欠席、果てはメンバーである妻があからさまな浮気をするわで、演出家でコオロギ役の男は怒りが収まらない。不穏なままにリハーサルを続けるなか、「劇」そのものと「虫」が現実に侵食し…という感じ(多分)。

公式サイトとかにも注意として「虫が出ます!(大量に)」と書かれているのだが、まじで大量に出る。最前列で観たのでなかなか壮観であった…

映画館で鑑賞した初鑑賞の作品から5作品選定したのがこちら。
- ふつうの子ども
- テレビの中に入りたい
- 九月と七月の姉妹
- ディア・ストレンジャー
- 蟲

良いの多かった…!来月は何観ようかな〜