2025年12月に観た映画

新作映画を観た感想

筆者
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映画館で観たものに加え、配信やソフトでの鑑賞も含めて今月鑑賞したものを書き残していくゾ

YOYOGI【K2】

半年ほどなんとなく気になっていてついに観れたドキュメンタリー。

エストニア出身で日本を拠点にするマックス・ゴロミドフ監督が通い詰めた代々木公園の日常を観察した記録である。

園内の人々はなにかから解放されたかのように、なぜそれをしているのかわからないことをしていたり、なんならそれが何なのかもわからないことをしている。

固定カメラによる絶妙な距離感の整然とした映像も美しくて良かった。

みんな、おしゃべり!【ユーロスペース】

河合健監督による、ろう者とクルド人という消滅の危機にある言語を持つ人々が衝突していく様子を真摯にそれでいてどこかおかしく描いた作品。

些細な誤解から対立することになってしまったろう者とクルド人のコミュニティを、CODA(ろう者の親を持つ聴者の子ども)である主人公・夏海と移民二世であるクルド人青年ヒワが通訳的に間に入るのだが、対立は街を巻き込んだ騒動に発展していき…といった話。

突き抜けたラストがこの映画のテーマのようなものを素晴らしく表現しており、ともすれば観る人が困惑するであろう展開にものすごい意味が立ち込める様に感動する。

字幕も作品の一部であり、手話やクルド語にも字幕はつくのだが必ずしも日本語で字幕がつくわけではなく、また意図的に字幕がつかないやりとりもあり、そのわからない取り残され感もまたリアルな感触がある。

監督自身がCODAであり、ろう者・クルド人ともに当事者がキャスティングされている。そんなわけで意思疎通にもいくつもの言語が必要な大変な現場であった模様だが、ろうドラマトゥルクやクルド表現監修の方々を制作チームに迎えつつつくりあげた傑作である。

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ここに来て今年ベスト級の一本!おすすめ!

プロセキューター【キネマ旬報シアター】

ドニー・イェン監督・主演の香港アクション映画。

刑事から検事に転身した熱血漢フォクが青年の麻薬密売事件に疑問を持ち、闇を暴こうと巨大な陰謀に立ち向かう、という話。アツい物語に、アクションが非常に多角的に盛りだくさんでかなりの見応えであった。

手に魂を込め、歩いてみれば【池袋シネ・リーブル】

ガザにてフォトジャーナリストとして活動する若い女性ファトマと監督のビデオ通話での1年にわたる交流を記録したドキュメンタリー。ぎりぎりの通信状況から伝わる、戦地となった故郷で笑顔を絶やさないファトマの強さと徐々に見えてくる疲れや哀しみにひたすら心揺さぶられるものがあった。彼女の写真がたくましく生きる人々を美しく写し出していた。交流の幕切れにあまりにやりきれない想いが込み上げるのであった。

殺し屋のプロット【シネマ・ロサ】

マイケル・キートン監督・主演の作品。記憶を失いつつある壮年のヒットマンが完全犯罪に挑む犯罪ノワールである。

2つの博士号を持ち陸軍将校でもある経歴の殺し屋ジョン・ノックスは数週間というスパンで急速に記憶を失う病により引退を決意する。その矢先に、職業を知られて以降疎遠だった息子が「殺人を犯してしまった」と助けを求めてきたため、残された時間で行動に出る。

非常に粋な逸品であった。ノックスの師匠的な存在としてアル・パチーノが出ており、その二人のやりとりだけでも見応えがあった。

筆者
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鑑賞時点で公開規模小さめだったけどかなり面白かった!

雪子 a.k.a.【新文芸坐】

2月以来の2度目の鑑賞。やはりすばらしい一作。監督の舞台挨拶も聴けた。新文芸坐のスクリーンで観るというのはとりあえず良い体験になるわけだが、さらに監督の話も聞けて大満足であった。

筆者
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今年のベストな一本だゾ!

悪魔祓い株式会社【近所のシネコン】

悪魔により混沌に包まれる韓国にて、悪魔祓いを生業とする3人組が活躍する話。

圧倒的な肉体を持つ社長、シャーマン、情報収集役の室長の3人が依頼者の女性の妹を救うべくゲキヤバ悪魔に挑むわけだが、悪魔関連の設定がよくわからないながらとにかくマ・ドンソクのアクションが最高なのでまぁいいやという感じで楽しめる映画である。90分ちょいなのも良い感じ。

筆者
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楽しい映画だぞ!

プラハの春 不屈のラジオ報道【近所のシネコン】

1968年に実際にチェコスロバキアにて起きた民主化運動「プラハの春」にて、市民に真実を伝え続けたラジオ局員たちの奮闘を描いた作品である。

中央通信局で働いていたトマーシュは、自由な報道を目指すチェコスロバキア国営ラジオの国際報道部にスカウトされ、上司命令もあり働き始める。しかし亡くした親代わりに見守ってきた弟が学生運動をしていることをネタに、報道部を監視する国家保安部への協力を強いられてしまうのであった。そんななか真摯に真実を伝え続けようと活動する局員たちの姿を目の当たりにしてトマーシュは大いに葛藤し…という話。

ジャーナリズムの在り方がますます問われる昨今、多くの人に届いてほしい一本。

エディントンへようこそ【近所のシネコン】

アリ・アスター監督最新作ということで早速観た。

舞台はニューメキシコ州の架空の都市エディントン。ロックダウン下の街でマスクしない主義をつらぬく保安官ジョーとハイテク企業誘致で街を救おうとする市長のテッドがいろいろあって対立し、ジョーは勢いで市長選に立候補する。メンタルを崩し引きこもる妻ルイーズは陰謀論者ヴァーノンにハマり、それはルイーズの母ドーンの影響だったりしつつ、立候補を機にますます関係に溝ができていき、同時に街はSNSを介した混沌を深め、ジョーはいよいよある行動に出てしまい…といった話。

なんともイヤ〜な感じな、アリ・アスターみを大いに感じられた次第である。

筆者
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現代を映す問いかけに満ちた作品…!もう一回観たい気がしてきている

クリスマスイブ・イン・ミラーズ・ポイント【キネマ旬報シアター】

気鋭のフィルムコレクティブ『オムネス・フィルムズ』のメンバーであるタイラー・タオルミーナ監督の長編3作目。クリスマスイブに4世代に渡って家族が集結するイベントにて、大人たちがおばあちゃんを施設に入れるかどうかでもめているなか若いエミリーとミシェルは抜け出して友人たちと落ち合おうとしており…といった話。

一見家族のクリスマスを描くホリデームービーのようでいて一筋縄ではいかない作品となっている。オムネスフィルムズのホームページにもある通り、プロットよりも雰囲気を重視する作風であり、もうこんなふうに家族で集まれる日は来ないのかも知れないという哀愁と、若者たちの前途のようなものを絶妙に感じさせるのである。

数ヶ月前に観た『さよならはスローボールで』もまたオムネスフィルムズの作品だったりするが、やはり「集まること」自体の尊さのようなものがとんでもない哀愁で押し寄せる作品であった。なかなか特異な集団であり、今後注視していきたい。

筆者
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なかなかいい味…! スピルバーグ(息子)やスコセッシ(娘)が出てて、クレジットで一瞬ビビった

ハム・オン・ライ【キネマ旬報シアター】

タイラー・タオルミーナ監督特集が同時に上映していたので鑑賞。初監督作品とのこと。とある郊外でめかし込んだティーンたちがある場所へとそぞろ歩いていく。目的地はデリカテッセン『モンティーズ』で、一定の年令に達した若者たちは、通過儀礼としてモンティーズにあつまり、ハム・オン・ライ(ハム入りのサンドイッチ)を食べながらいわゆるプロム的な形で男女のペアを作っていくのだが、儀式に懐疑的なヘイリーは途中で逃げ出してしまう。そんなヘイリーをよそに、ペアを作れた男女は夕暮れに消えてゆき…といった話。

後半は通過したティーンは一切出てこず、通過しなかった・できなかったティーンと、ずっと街にいる者たちが取り残されたようにいるばかりである。説明のなさに置いてかれたのだが、のちになるほどそういう話なのかと納得。実験的で、実はなかなか残酷な様相を描き出していた映画だった。

筆者
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とりあえずクリスマスイブ・イン・ミラーズ・ポイントのほうが見やすいかも

ボディビルダー【近所のシネコン】

祖父の介護をしながらプロのボディビルダーとして雑誌の表紙を飾ることを目指しすべてを掛けてトレーニングに打ち込んでいた青年が、過酷なトレーニングゆえに心身を崩し、社会の不条理、孤独と対峙するなかで追い打ちをかけるように残酷な事件が起きてしまい、ついに彼の夢が狂気へと変貌し…という話。

非常に見応えある作品であった。撮影や編集がよく、さらに演技、そして肉体の圧倒的な迫力から目が離せなかった次第である。

筆者
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すごかった…!

少女はアンデスの星を見た【K’s cinema】

ペルー映画。

孫を殺めてしまったおじいちゃんが裁判にかけられ、その経緯を語っていくという物語。冒頭から救いのなさが提示され、身構えてしまった。

標高約4000mの荒涼とした景色の美しさとともにスタンダードサイズのモノクロ映像とても美しい。しかしそれで映し出されるのは根深い男性優位と共同体の歪みの犠牲になった少女の身に邪悪な精霊までもが追い打ちをかける様である。1シーンを除いて動かないカメラにより、高低差や奥行きを使った表現がとても良かった。

筆者
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そしておじいちゃん役の人が加藤嘉さん似…!

世界一不運なお針子の人生最悪な1日【ヒューマントラストシネマ有楽町】

スイスの田舎の村で亡き母親の裁縫店を継いでしまった女性が道端で薬物の取引失敗現場に遭遇、「横取り」「通報」「素通り」の選択肢がよぎりさあどうする!?という話。彼女の持てる武器は針と糸だけだが、謎の才能を爆発させ仕掛けを施していくさまになかなか興奮した。

筆者
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そんなばかな!って感じの仕掛け、パンフの監督インタビューによれば、ちゃんと動くものらしいゾ

ジャグラー/ニューヨーク25時【フォーラム仙台】

4K修復版のリバイバル作品。1970年代のニューヨークにて、元警官で現トラック運転手の男がセントラルパークで別れた自分の娘が誘拐される瞬間を目撃し、猛然と追いかけるノンストップの奪還劇。

危ういムードの当時のニューヨークの様子が鮮烈に漂う映像からあふれる、とにかく走って追ってなぜか追われての荒々しい疾走感が最高であった。

筆者
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これはいいわ〜!

BLACK BOX DIARIES【フォーラム仙台】

性暴力の被害者となってしまった伊藤詩織さんの闘いを自ら記録して作り上げたドキュメンタリー映画。

とにかく公開されたことが本当に良かった。そもそも、このどうにか公開に「漕ぎ着ける」必要が出てくる社会の構造に大いなる幻滅と失望を感じてしまったが、この作品の公開が社会を大きく動かし推進力になってほしいし、腐った体制を壊して変えるきっかけになってほしいと願わずにはいられない。

今月の好きになった映画【12月版】

映画館で鑑賞した初鑑賞の作品から5作品選定したのがこちら。

  • みんな、おしゃべり!
  • ジャグラー/ニューヨーク25時
  • 殺し屋のプロット
  • ボディビルダー
  • 世界一不運なお針子の人生最悪な1日
筆者
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良いの多かった…!来月は何観ようかな〜